先日の定例会で、とても印象に残る話がありました。
それは、経営学者アルフレッド・チャンドラーの有名な言葉に通じるものでした。
組織は戦略に従う
戦略は組織に従う
この言葉は本やセミナーでよく目にしますが、正直、私はこれまで「きれいごと」に近い印象を持っていました。
でも、その日、この言葉が事業戦略を考えるうえで本当に大切なことだと改めて実感したのです。
戦略を「ポジション」で考えると見えてくる
私は中小企業診断士として、この会社に顧問で入っています。
社長と幹部の皆さんと一緒に事業計画を立て、その中には組織計画も盛り込みました。
野球に例えると、優勝を目指すチームのようなものです。
ピッチャーは誰、キャッチャーは誰、内野・外野の布陣はどうするか──
役割(ポジション)を決め、それぞれが自分の持ち場で力を発揮できるようにする。
これが「組織は戦略に従う」という考え方です。
しかし、計画に穴があいた
計画が進む中で、想定外の出来事が起きました。
退職者が出て、いくつかのポジションに穴があいたのです。
野球でいうと、試合の途中でショートと外野手が同時に抜けるようなもの。
私たちはその穴を埋めるため、残ったメンバーがポジションを兼務する形で対応しました。
営業がマーケティングを兼務し、開発担当が企画まで関わる──
短期的にはなんとか回りましたが、次第に負荷が大きくなり、組織がいびつになっていきます。
歪んだ組織の末路
このままでは、以下のような問題が出てきました。
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一人ひとりの負荷が増えすぎて疲弊
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本来の役割に集中できず、戦略の実行力が低下
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会議や調整が増え、意思決定が遅くなる
つまり、戦略を描いたはずが、いつの間にか「戦略は組織に従う」モードになっていたのです。
現有メンバーに合わせて戦略を変える──これは応急処置としては必要ですが、長く続けると確実に力が落ちます。
原点に立ち返った再編
そこで私たちは、原点に立ち返りました。
事業戦略をもう一度確認し、それを実行できる組織に戻すための再編を行ったのです。
野球でいえば、試合中にでも選手補強を行い、本来の布陣を整えるようなもの。
現在、戦略の実行力の回復を目指し、計画を実行中です。
学びとメッセージ
この経験から得た学びはシンプルです。
「戦略は組織に従う」はあくまで例外モードであり、常態化させてはいけない。
常に「組織は戦略に従う」状態を維持することが、事業成功の鍵。
欠員や退職は避けられないこともあります。
でも、その瞬間の対応と同時に、必ず「理想の布陣に戻すための手を打つ」ことが必要です。
事業計画は机上の空論ではありません。
組織(ポジション)と一体で設計し、状況が変わっても原点に戻れる仕組みを持つこと。
これが、戦略を最後まで実行しきるための一番のポイントだと感じます。
最後に
今回お話ししたのは、私自身が顧問として伴走する中で体験した、計画の“ズレ”からの学びです。
この経験は、どんな会社でも起こりうることだと思います。
もし今、あなたの会社が
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人員不足で兼務が増えている
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当初の戦略から優先順位がずれてきた
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組織のいびつさを感じ始めている
そんな状況なら、一度立ち止まって戦略と組織の関係を見直すタイミングかもしれません。
私たちは、中小企業診断士として事業計画と組織設計を一貫してサポートしています。
興味のある方は、ぜひご相談ください。