PVMV = 理念設計のフレームワーク

PVMVとは?

前回のおさらい

ブランドを"つなぐ言語"としてのCI(Corporate Identity)とは?

前回の記事では、CI(コーポレート・アイデンティティ)とは何か、そしてブランドの“内と外”をつなぐ設計図であるという話をお伝えしました。
CIは「言葉」「行動」「デザイン」を一貫させ、企業の“らしさ”を内外に伝える仕組みです。

では、そのCIを支える“芯”とは何か?

それが──
PVMV(Purpose・Vision・Mission・Value)です。

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PVMVとは?

PVMV=理念設計のフレームワーク

PVMVは、企業の“志”を形にするための言語化フレーム

「企業理念」という言葉はよく耳にするけれど、

「掲げてはいるけど、正直ピンときていない」
「存在はしてるけど、使われていない」

──そんな状態に陥っている会社も少なくありません。
実はそれ、“理念がない”のではなく、“理念が機能していない”ということなんです。

それぞれの定義

項目 定義 役割のイメージ
Purpose
存在意義
なぜ私たちは存在するのか?社会にどう貢献したいのか? 志・信念・哲学
Vision
理想の未来
その志が実現された先に、どんな未来があるのか? ゴール・未来の姿
Mission
使命
その未来の実現に向けて、私たちは何を届けるのか? 行動・実行の意思
Value
行動指針
志や使命を、日々どう実現していくのか? 判断基準・文化

※上記の図ではMissionとValueの間に「STRATEGY/PLAN」がありますが、
 次回の「戦略、作戦、戦術」で説明をします。

PVMVが必要とされる理由

ブランドは共感を集め、判断や行動を支える“基準”となる。

多くの企業に理念は存在します。
でも、現場で使われていない、誰も語れない──
それは、「なぜそれが必要なのか?」が共有されていないからです。

PVMVは、

  • 外向きの“ブランドメッセージ”
  • 内向きの“判断基準”

という2つの役割を果たします。

つまり、PVMVは──
社外には「姿勢」を伝え、社内には「行動の軸」を伝える、経営とブランディングの土台なのです。

だからこそ必要なのは「構造的な内省」

ブランドづくりに必要なのは、センスや言葉の巧さではありません。
必要なのは、「自社・顧客・市場」という3つの視点からの構造的な内省です。
だからこそ、以下の3ステップで“ブレないブランドの軸”を導き出す必要があります。

 

フェーズ

内容

得られる視点

① 自社理解

自社の強み、価値、存在理由を掘り下げる

主観:自分たちはどうありたいか

② 顧客理解

顧客のニーズ・行動・感情を理解する

客観:なぜ選ばれるのか

③ 競合理解

市場内の立ち位置を設計する

相対:どこで独自性を出すか

さらに、届ける“相手”を意識することで、
言葉は強くなります。

外部顧客視点

顧客の“共感”や“解決”を軸に、直接的なベネフィットを伝える。

内部組織視点

働く動機づけと誇りを与え、行動の意味を内面化させるメッセージ。

公共性・社会的意義

社会的課題との接点や存在意義を語ることで、公共性・共感を得る。

PVMVがあることで生まれる変化

PVMVがあることで、次のような変化が生まれます。

  • 採用や評価、育成に「価値観の共通言語」が生まれる
  • 社員が迷ったときに「立ち返る軸」になる
  • 顧客や社会に対して「共感を生むブランドメッセージ」になる
  • 新規事業や意思決定において「ブレない骨格」になる

ブランドの芯としてのPVMV

人は“想い”に動かされます。
お客様も、社員も、パートナーも、投資家も。
「何をしているか?」以上に、「なぜそれをしているのか?」に心が動きます。

だからこそ、企業の想いを言葉にすることが、ブランドの出発点なのです。

私たちは、PVMVを「ブランドコア」と呼んでいます。
CIやロゴ、Webサイト、広告など、すべてのブランド活動の中心にあるべきものです。

結論

理念は飾りではなく、判断と行動のOSであるべき

本来、理念(Purpose / Vision / Mission / Value)は、

  • 意思決定:判断に迷った時の「羅針盤」
  •  採用・評価:共感できる人を集め、育てる「基準」
  •  ブランディング:社外に共感を広げる「言語化ツール」
  •  組織文化:社員一人ひとりが“らしさ”を体現するための「文化の土壌」

つまり、理念とは “共感され、使われる” ことで初めて価値を持ちます

PVMVは、単なる“理念の寄せ集め”ではありません。
理念は飾りではなく、“判断と行動”のOSであるべきです。

そしてその言葉が、
顧客には“ブランド”として、
社員には“文化”として、
社会には“信頼”として伝わっていくのです。

次回は、「STRATEGY/PLAN」である、「戦略・作戦・戦術」についてご紹介いたします。

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