人間関係を破壊する『外的コントロール』
ここからは、選択理論に触れていきたいと思います。
まずは選択理論と相反する考え方である「外的コントロール」を説明します。
外的コントロールとは、「人間の行動は、外部からの刺激に反応してして行動を起こす」という考え方です。
例えば、「電話が鳴ったから、電話に出た」は、「電話が鳴った」という外部の刺激に反応して「電話に出る」という行動を起こした、ということです。
つまり、「自分以外の情報に反応して私達は行動をしている」という考え方です。
また、仕事においては「仕事の進捗が進んでいないので、部下を怒鳴る(ことによって仕事をさせようとする)」「思った結果と違うので、責め立てる(ことによってやり直させる)」というものが外的コントロールの考え方です。
つまり、「私は他人の行動をコントロールすることができる」という考え方です。
しかし電話の例では、その電話が知らない番号であったり、苦手な人からの電話であれば「電話に出ない」という選択をするんじゃないでしょうか。
仕事の例でも、怒鳴ったり、責めたりすることで、相手をコントロールしているのではなく、「もうそれ以上言われたくない」「これ以上嫌な気持になりたくない」からやるという選択をしているんじゃないでしょうか。
それで自分の思った結果を作れたとして、人間関係はどうなるでしょうか?効果的でしょうか?
選択理論では、職場においても、日常生活においても、よりよい人間関係を築くには、外的コントロールを使わないとしています。
「他人を変えることはできない。変えられるのは自分だけである。」
これが選択理論の重要な考え方の1つです。
やる気を内部から引き出す『内発的動機づけ理論』
選択理論での内発的動機づけでは、あらゆる現象や状況は情報に過ぎないと考えています。
私たちは情報をもとに、自分で判断し、そのとき自分にとって最善と思われる内発的に動機づけられた行動を「選択」している、としています。
つまり「私たちの行動は内側から動機づけられている」という考え方です。
人は、外的コントロールがなくても、目に見えない報酬がなくても、仕事に意欲的に取り組むことがあり、報酬に相当するような感覚を自分自身の内部から引き出しています。
こうした内発的動機づけを組織全体で醸成することがとても重要になります。
内発的動機づけ要因
内発的動機づけ要因には以下のようなものがあると言われています。
- 仕事のやりがい
- 仕事を通して得られる達成感や満足感
- 自己成長や自己概念決定の感覚
内発的動機づけの要因となる『職務特性理論(職務特性モデル)』
内発的動機づけに関わる特性として、以下の5つがあるとしたのが職特性モデルであり、ハーバード大学の教授であるリチャードハックマン(組織心理学)とテュレーン大学の教授であるグレッグオールダム( 組織行動・経済学)によって提唱された理論です。
(1)技能多様性
業務に必要なスキルがバラエティに富んでいる
(2)タスク完結性
業務の工程全体の多くに関わっている
(3)タスク重要性
業務の出来栄えが他人や組織、社会に対する影響が大きい
(4)自律性
自分なりに工夫してできる自由裁量の程度が高い
(5)フィードバック
自分の仕事の結果に関する情報を知り、業務そのものから得られる手ごたえが感じられる
会社の仕組みがどんなに優れていても、商品やサービスがどんなに魅力的でも、組織内で外的コントロールが使われており、常に恐怖と不安の空気が漂う会社には人は長続きしません。
あなたの会社で外的コントロールは使われていませんか?使われていたら今すぐ見直すべきです。
一度、振り返ってみてはいかがでしょうか?